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司法書士は何をしてくれる?登記・相続・会社・後見と、頼むべき場面の見分け方

司法書士は何をしてくれる?登記・相続・会社・後見と、頼むべき場面の見分け方
「司法書士って、結局なにを頼める人なんですか」——相続で不動産の名義を書き換える段になって、初めてこの疑問にぶつかる人は多いです。答えを先に言うと、司法書士が法律上「その人にしかできない」と定められているのは、登記手続の代理と、法務局や裁判所に提出する書類の作成です。土地や建物の名義変更、会社をつくったときの登記、亡くなった方の不動産の相続登記は、この線の内側にあります。この記事では、司法書士の独占業務の中身、相続・不動産・会社・借金・後見といった頼む場面、令和6年に始まった相続登記の義務化で変わった点、そして税理士・行政書士・弁護士との境界線を整理します。個別の登記の可否や書類の中身の判断は司法書士に確認が必要なため、本記事は「誰に何を持ち込むか」を決めるための地図として使ってください。
目次

司法書士だけができる仕事

司法書士の中心にあるのは登記です。日本司法書士会連合会の説明では、司法書士の業務として「登記又は供託手続の代理」「(地方)法務局に提出する書類の作成」「裁判所または検察庁に提出する書類の作成」が挙げられており、これらは司法書士でない者が報酬を得て行うことが禁じられている領域とされています。「登記に詳しい知人」や「書類作成が得意な事業者」がいても、この線の内側には入れません。

主な業務 何をする仕事か 身近な例
登記手続の代理 不動産や会社の権利関係を、法務局の登記簿に反映させる申請を代理で行う 相続した土地・建物の名義変更/住宅ローン完済後の抵当権抹消/会社設立の登記
法務局に出す書類の作成 登記申請書や添付書類など、法務局に提出する書類を作る 相続関係を証明する書類一式の作成・確認
裁判所に出す書類の作成 訴状や申立書など、裁判所に提出する書類を本人に代わって作る 支払督促、相続放棄の申述書、成年後見の申立書
簡裁での訴訟代理(認定者のみ) 法務大臣の認定を受けた司法書士が、簡易裁判所の一定の事件で代理人になる 訴額140万円以下の請求・和解・調停の代理

見落とされやすいのが4つめの訴訟代理です。すべての司法書士が裁判の代理をできるわけではなく、法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)が、簡易裁判所で扱う訴額140万円以下の事件について、代理や裁判外の和解、これらに関する相談を行えるとされています。この金額を超える事件や、地方裁判所以上で争う事件の代理は弁護士の領域です。「どこまでを司法書士に頼めるか」は、この認定の有無と140万円の線で大きく変わります。

一方で、司法書士は家庭裁判所から選任される成年後見人・不在者財産管理人・相続財産清算人といった役割を担うこともあります。これらは司法書士だけの独占ではなく、弁護士なども選任され得る立場ですが、財産管理や手続きに通じた専門職として関わる場面が実際にあります。

司法書士に頼む場面はどんなときか

資格の説明よりも、「どんなときに司法書士の出番になるか」を場面で押さえたほうが実感に近づきます。よくあるのは次のような局面です。

相続で不動産を引き継ぐとき

親名義の土地や家を相続したら、名義を相続人に書き換える相続登記が必要になります。誰が相続人かを戸籍でたどり、遺産分割の内容を書類にまとめ、法務局に申請する——この一連を代理できるのが司法書士です。相続人が多い、古い名義のまま何代も放置されている、といったケースほど、書類の組み立てが複雑になります。

不動産を売買・贈与するとき、ローンを返し終えたとき

不動産の所有権が動く場面では、ほぼ必ず登記がついてきます。売買での名義移転、住宅ローンを完済したあとに残っている抵当権の抹消、生前贈与での名義変更などです。金融機関や不動産会社が司法書士を手配することも多く、気づけば関わっていた、という入り方も少なくありません。

会社をつくる・役員や本店を変えるとき

会社を設立すると、法務局への設立登記によって法人として成立します。設立後も、役員が変わった、本店を移した、資本金を増やした、といった変化のたびに登記が必要です。定款の作成や許認可までを含めて誰に頼むかは、税理士は何をしてくれるかとの境界とあわせて考えると整理しやすくなります。

借金の整理・簡易裁判所での争いごと

認定司法書士であれば、140万円以下の範囲で、貸金の請求や過払い、少額のトラブルについて簡易裁判所の手続きを代理したり、書類を作ったりできるとされています。金額が大きい、争いが複雑、という場合は弁護士に相談する線引きになります。

判断能力が下がった家族の財産を守るとき

認知症などで判断が難しくなった家族の財産管理には、成年後見という制度があります。家庭裁判所への申立書類の作成を司法書士に頼んだり、司法書士が後見人に選任されたりする場面があります。

相続登記の義務化で、司法書士が身近になった

2024年(令和6年)から、司法書士の仕事の入口が一段と広がりました。相続登記の申請が義務化されたためです。法務省の案内によれば、相続登記の義務化は令和6年4月1日から始まり、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があるとされています。正当な理由がないのに申請をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があるとも説明されています。

これまで「いつかやればいい」と後回しにされがちだった相続登記に、期限という区切りができた形です。過去に相続したまま名義を変えていない不動産も対象になり得るとされているため、心当たりがある場合は放置しないことが大切です。手続き自体は自分で申請することもできますが、相続人の確定や書類の準備でつまずきやすい領域でもあります。期限・過料・正当な理由の範囲といった個別の判断は、司法書士や最寄りの法務局に確認してください。

迷ったときの順番:相続で不動産が出てきたら、まず①名義が誰のままか(登記簿を確認)、次に②相続人が誰か(戸籍で確認)を押さえると、司法書士に相談する際の話が早く進みます。この2点が曖昧なままだと、どんな専門家に持ち込んでも最初の整理からになります。

税理士・行政書士・弁護士との境界線

相続や会社まわりでは複数の士業の名前が出てくるため、混同されがちです。ざっくりとした持ち場の違いは次のとおりです。

資格 中心となる持ち場
司法書士 登記(不動産・会社)、法務局・裁判所に出す書類、簡裁の一定の手続き、成年後見
税理士 相続税・贈与税など税金の申告と相談、会社の決算・税務
行政書士 役所への許認可申請、契約書や遺産分割協議書などの書類作成
弁護士 争いのある事案の代理全般、金額の大きい訴訟

たとえば相続では、不動産の名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人どうしで争いになったら弁護士という分かれ方になります。ひとつの相続に複数の士業が関わることは珍しくありません。税金の線引きは税理士は何をしてくれるかに、そもそも自分の悩みがどの士業の話なのかを整理したいときは士業には誰に相談すればいいかにまとめています。

自分でやる場合の限界はどこにあるか

相続登記も抵当権の抹消も、制度上は本人が自分で申請することができます。書式や必要書類は法務局が案内しており、比較的単純な内容であれば自力で進める人もいます。費用を抑えたいときには合理的な選択です。

限界が出やすいのは、権利関係が入り組んでいる場面です。相続人が多い、すでに亡くなった相続人がいて次の代に移っている(数次相続)、古い抵当権が残っている、遺言と実際の分け方が食い違う——こうしたケースでは、どの書類をどう組むかの判断そのものが難しくなります。ひとつでも当てはまるなら、少なくとも一度は司法書士に相談するほうが、やり直しや期限切れのリスクを減らせます。単発の相談だけでも構いません。

「自分でできる」と「自分で判断できる」は別物です。登記は一度通ってしまうと、間違いを直すのに別の手続きが必要になることもあります。迷いが残るなら、専門家に一度見てもらう判断が結果的に安く済むことの多い領域です。

よくある質問

相続登記は必ず司法書士に頼まないといけませんか

いいえ、自分で申請することもできます。ただし相続人の確定や書類の準備でつまずきやすく、内容が複雑なほど専門家に任せる価値が上がります。まずは自分のケースが単純か複雑かを、無料相談などで確認してみるのが現実的です。

司法書士と行政書士はどう違うのですか

大きな違いは登記を扱えるかどうかです。不動産や会社の登記手続の代理は司法書士の業務であり、行政書士の業務範囲外とされています。一方、役所への許認可申請や各種書類の作成は行政書士の持ち場です。相続では、遺産分割協議書の作成と名義変更登記で、担当が分かれることがあります。

司法書士は裁判の代理をしてくれますか

法務大臣の認定を受けた司法書士であれば、簡易裁判所で扱う訴額140万円以下の事件について代理ができるとされています。それを超える金額や、地方裁判所以上で争う事件の代理は弁護士の領域です。まず自分の事案がどの範囲かを確認するとよいでしょう。

相続登記をしないと本当に罰則がありますか

法務省の案内では、正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があるとされています。「正当な理由」に当たるかどうかの判断は個別の事情によるため、期限に間に合いそうにない場合は早めに司法書士や法務局に相談してください。

次の一歩:この記事を読んで「自分の場合はどうなのか」が残ったなら、それはもう一般論では答えが出ない段階です。まずは①いま動かしたいのは不動産や会社の「名義」なのか、税金の話なのか、争いごとなのかを分け、②登記が絡むなら、対象の不動産や会社の現状(登記簿・相続人)を手元に用意してから問い合わせてください。この2つが決まっているだけで、初回相談の密度は大きく変わります。どの士業に持ち込むべきか迷う段階なら、士業の選び方から読み直すのが近道です。記事へのご意見・ご質問はお問い合わせからお寄せください。

本記事は司法書士制度と他士業との役割分担についての一般的な解説であり、個別の事案に対する法的判断や助言ではありません。登記の可否、必要書類、相続登記の期限や過料の適用といった具体的な判断は、必ず司法書士または最寄りの法務局にご確認ください。制度は改正されることがあるため、実際の手続きの際は最新の情報をご確認ください。
参考:日本司法書士会連合会「司法書士の業務」https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/business.html/法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html(いずれも2026年7月確認)

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