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一度相談した士業とは別の事務所にも、聞いていいのか|契約前なら普通のこと。ただし「いつ」と「何を渡すか」で話が変わります

一度相談した事務所があるけれど、答えに納得しきれていない。別のところにも聞いてみたい。でも、それは失礼にあたるのではないか。

この迷いで止まっている間に期限が来る、というのが、いちばんもったいない形です。

先に結論だけ書きます。契約前であれば、複数の事務所に相談するのは普通のことです。 失礼になるのは「複数に聞くこと」ではなく、別のところにあります。

どの段階にいるかで、話がまったく変わる

同じ「別の事務所にも聞きたい」でも、立っている場所が3つあります。自分がどこにいるかを先に確かめてください。

段階扱い気をつけること
① まだどこにも依頼していない相見積もり。ごく普通ほぼ無い
② 相談はしたが、契約前問題なし費用の発生・資料の扱い
③ すでに契約し、着手している「乗り換え」の話になる契約条項・引き継ぎ・時期

③は別の問題です。すでに顧問契約や委任契約がある場合は、セカンドオピニオンではなく契約をどうするかの判断になります。その手順は税理士を変えたいと思ったら|切り替えの手順と、いちばん傷が浅い時期と社労士を変えたいと思ったとき、先に読むのは契約書の解約条項ですに分けて書いています。

以下は①②の話です。

医療の「セカンドオピニオン」とは前提が違います

医療では、セカンドオピニオンが制度として整えられている場面があります。士業では、そういう共通の仕組みがあるわけではありません。

つまり「セカンドオピニオンをお願いします」と言っても、受け取り方は事務所ごとに違います。 多くの事務所にとっては、それはただの新規の相談です。

だから、特別な言い方をする必要もありません。普通に相談を申し込めば済みます。

同じ資料を渡していいのか

ここは線がはっきりしています。

渡してよいもの

  • 決算書・申請書類・契約書・登記事項証明書など、もともと自分の側にある資料
  • 自分で作ったメモ、経緯の整理

扱いに注意が要るもの

  • 前の事務所が作成した成果物(意見書、申請書のドラフト、計算書、提案書)
  • 前の事務所から受け取った説明資料

前者は自分のものなので、どこへ持っていっても構いません。後者は、その事務所の仕事の産物です。「前の先生はこう言っていた」と口頭で伝えるのは問題になりませんが、作成物をそのまま横流しするのは避けてください。

実務上も、後者を渡すと話がややこしくなります。新しい事務所は、他所の成果物を前提に意見を言いにくいからです。

費用は二重にかかるのか

かかることがあります。 初回相談の費用の置き方は事務所ごとに違うからです。

  • 初回相談が無料の事務所 → 二重にはなりません
  • 初回から有料の事務所 → 相談した数だけかかります
  • 時間制(30分単位など)の事務所 → 同上

金額をどう読むかは、報酬と実費を分けて見るのが基本です。行政書士に頼むといくらかかるのか|「報酬」と「実費」は別会計だと分かると、見積もりが読めますと司法書士に頼むと、いくらかかるのか|「報酬」と「実費」を分けないと見積もりは比べられないに分けてあります。

⚠️ 相談料の有無は、必ず申し込みの時点で確認してください。 「相談は無料」と書いてあっても、どこまでが無料かの線は事務所ごとに違います。

前の事務所に伝えるべきか

契約前であれば、伝える義務はありません。

ただし、伝えたほうが早い場面はあります。

  • 前の事務所に資料を預けている(返してもらう必要がある)
  • 前の事務所がすでに何か動き始めている(重複作業になる)
  • 期限のある手続きで、どちらが出すのかを決めないと間に合わない

逆に、まだ一度話しただけで何も預けていないなら、わざわざ連絡する必要はありません。返事をしないこと自体は、断りとして通じます。

「失礼になる」のは、実はここです

読者が本当に気にしているのはここだと思うので、正直に書きます。複数に聞くことは失礼ではありません。 失礼になるのは次の3つです。

1. 作業をさせてから、黙って消える。 見積もりのために書類を精査してもらった、試算を出してもらった、という後で連絡を絶つのがいちばん良くありません 2. 他所の見積もりを値切りの材料にする。 「よそはもっと安かった」で金額だけを動かそうとすると、受ける側は手を抜ける範囲を探すことになります 3. 無料相談だけを渡り歩いて、どこにも頼まない。 3件目あたりから、同じ質問だと分かります

1件断るのに必要なのは、一言だけです。「今回は別の事務所にお願いすることにしました。ありがとうございました」。これで終わります。

回答が割れたとき、どう読むか

複数に聞くと、答えが違うことがあります。これは「どちらかが間違っている」とは限りません。

割れ方には型があります。

  • できる/できないで割れた → 業際(その資格で扱える範囲)の問題か、事務所の方針かを聞く
  • 金額で割れた → 含まれる作業の範囲が違う。総額ではなく中身を並べる
  • 急ぐ/急がないで割れた → 見ているリスクが違う。何が起きると困ると考えているかを聞く
  • やめたほうがいい/やりましょうで割れた → いちばん重要。反対した側の理由を先に聞く

⚠️ 安いほう・やってくれるほうを選ぶ、という決め方はしないでください。 断った側が見ていたリスクは、依頼先を変えても消えません。

事務所の比べ方そのものは士業事務所の選び方|料金表だけで選ぶと失敗する理由と見積もりの見方に、顧問料が何で決まるかは税理士の顧問料は何で決まるのかにまとめています。

断られたときは、別の話です

聞きに行って断られることもあります。これはセカンドオピニオンだからではありません。 断られる理由は5つほどあり、それぞれ次の行き先が違います。行政書士に依頼を断られたら、次は誰に持っていくのかを参照してください。

制度・期限の確認先について

相談の可否や費用の考え方は事務所ごとの運用ですが、資格ごとの業務範囲や、手続きの期限は制度で決まっています。

このサイトでは制度そのものの最終的な判断はできません。各士業の全国組織(日本税理士会連合会・全国社会保険労務士会連合会・日本司法書士会連合会・日本行政書士会連合会・日本弁護士連合会など)や、所管の官庁・自治体の窓口で必ずご確認ください。

⚠️ とくに登記・許認可・申告には期限のあるものがあります。 どこに頼むか迷っている間に期限が来ると、選び直しの余地そのものが無くなります。 迷っている段階でも、期限だけは先に確かめてください。

よくある質問

Q. 「他にも相談しています」と言ってもいいですか? A. 構いません。むしろ言っておくほうが、相手もどこまで踏み込んで話すかを決めやすくなります。隠す必要はありません。

Q. 何件くらい当たるのが普通ですか? A. 決まりはありません。ただし3件を超えると、判断材料が増えるより迷いが増えることのほうが多いです。割れたときに理由まで聞けているなら、2件で足ります。

Q. 同じ資格の人に聞くべきですか、違う資格の人に聞くべきですか? A. 「やり方」に納得できないなら同じ資格へ。「そもそもこの資格の人に頼む話なのか」が分からないなら、違う資格へ。 後者は業際の問題なので、同じ資格の人に何人聞いても答えは似ます。

Q. 契約した後で、別の事務所に意見だけ聞くのはだめですか? A. だめではありませんが、セカンドオピニオンではなく乗り換えの検討として進むことが多いです。契約条項と引き継ぎの整理を先にしてください。

まとめ

  • 契約前なら、複数の事務所に相談するのは普通のことです
  • 自分の資料は渡してよい。前の事務所の作成物はそのまま渡さない
  • 相談料は事務所ごと。申し込みの時点で確認する
  • 失礼になるのは、作業させてから消える/値切りの材料にする/無料相談を渡り歩くの3つ
  • 答えが割れたら、反対した側の理由から聞く
  • 期限だけは、迷っている段階で先に確かめる
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