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会計事務所を辞めるなら、何月がいいのか|繁忙期・担当先の引き継ぎ・転職活動の時期から逆算する

会計事務所を辞めたいと思ったとき、次に出てくるのはたいていこの質問です。

「今言っていいのか、それとも時期を待つべきなのか」

一般の会社と違い、会計事務所には担当先ごとの申告期限があります。自分の都合だけで日を選べません。そのうえ、辞めると言い出せないまま1年が過ぎるという話も、この業界ではよく聞きます。

この記事では、事務所のカレンダー・担当先のカレンダー・転職市場のカレンダーの3つを重ねて、切り出す時期をどう決めるかを整理します。

前提:3つのカレンダーは、別々に動いている

多くの方が「繁忙期を避ければいい」と考えますが、実際にはずれる要素が3つあります。

カレンダー動く時期何に効くか
事務所の繁忙期1〜3月・5月・年末引き止めの強さ・引き継ぎの余裕
担当先の申告時期決算月から2か月後(顧問先ごとにバラバラ)実際に引き継げるかどうか
転職市場1〜3月・9〜10月に求人が増える傾向選択肢の多さ

この3つが同時に良くなる月は、基本的にありません。 どれを優先するかを決めることが、時期を決めるということです。

事務所側の繁忙期の全体像は士業事務所の繁忙期カレンダーにまとめています。

結論から言うと、狙いやすいのは「6月」と「9〜10月」

6月に切り出す

3月決算法人の申告(5月末)が終わり、事務所全体がいちばん落ち着く時期です。

  • 引き継ぎに時間を取れる。 後任が余裕を持って担当先を回れます
  • 引き止めの圧力が比較的弱い。 人が抜けても当面は回るためです
  • 7〜8月に転職活動、9〜10月入社という流れが組みやすい

デメリットは、求人数がやや落ち着く時期にあたることです。ただし応募者も減るため、競争が緩む面もあります。

9〜10月に切り出す

求人がもっとも増える時期のひとつで、選択肢は多くなります。

  • 年内に決めて、年明けの繁忙期前に移れる
  • ただし、年末調整・法定調書の準備が始まる時期でもあります。引き継ぎの負荷は6月より高くなります

避けたほうがよい時期

  • 12〜3月|年末調整から確定申告まで、事務所がもっとも動けない時期です。引き止めが強く、引き継ぎも実質できません
  • 担当先の決算月の直前|自分の担当先の申告が目前にある状態で抜けると、後任も顧問先も困ります

「繁忙期が終わったら辞める」が、毎年繰り返される理由

この業界でいちばん多い足止めの形です。 3月に「繁忙期が終わったら」と考え、5月に決算が来て、6月には気持ちが落ち着き、また12月が来る。

原因ははっきりしています。辞める時期を「気持ちが決まったとき」に置いているからです。

<strong>時期は、気持ちではなく手続きから決めてください。</strong> 具体的には次の順番です。

1. 就業規則で、退職の申し出が何か月前と定められているかを確認する(1〜2か月前が一般的ですが、事務所によって異なります) 2. 自分の担当先の決算月を書き出す(申告は決算月の2か月後。ここが引き継ぎの制約になります) 3. 1と2から、切り出せる月を機械的に出す 4. その2〜3か月前から、転職活動を始める

4が抜けると、辞めると言ったあとに行き先を探すことになります。 これがいちばん条件を落とす進み方です。

担当先の引き継ぎは、月単位ではなく「申告単位」で考える

会計事務所の引き継ぎで実際に難しいのは、担当先が申告のどの段階にあるかです。

  • 申告が終わった直後の顧問先|次の申告まで期間があり、引き継ぎやすい
  • 月次が進行中の顧問先|資料の受け渡しの流れを引き継げば足りる
  • 決算作業中の顧問先|もっとも引き継ぎが難しい。ここが残っていると、退職日が動かされます

担当先の決算月を一覧にすると、「この月なら決算作業中の先が最も少ない」という月が必ず見つかります。 事務所全体の繁忙期より、この一覧のほうが実務上は効きます。

切り出す前に、やっておくこと

  • 担当先の一覧と決算月を、自分用に整理しておく(引き継ぎ資料の下地になり、話が早く終わります)
  • 転職活動を先に始める。 内定を持ってから切り出すほうが、時期を交渉できます
  • 辞める理由を、事務所への不満ではなく自分の方向で言えるようにしておく
  • 有給の残日数を確認する。 最終出社日と退職日は別に設定できます

行き先の考え方は士業の転職先にはどんな選択肢があるか、税理士としてのキャリアの組み立ては税理士のキャリアパスにまとめています。エージェントを使うかどうかは士業の転職エージェントの使い方をご覧ください。

引き止めにあったときの考え方

会計事務所では、「今抜けられると担当先が困る」という形の引き止めがよく起きます。これは事実であることが多く、だからこそ効きます。

判断の軸はひとつです。「その状態は、来年の同じ時期に解消しているか」。

  • 人が増える見込みがある・担当が分散される予定があるなら、待つ価値はあります
  • 毎年同じことを言われているなら、来年も同じです

給与の見直しを条件に引き止められた場合も同じで、辞めると言わなければ上がらなかった条件は、次も辞めると言うまで上がりません。 給与がどう決まっているかは士業事務所の給与はどう決まるかにまとめています。

まとめ

  • 時期は気持ちではなく、就業規則と担当先の決算月から機械的に決める
  • 狙いやすいのは6月(引き継ぎに余裕がある)と9〜10月(求人が多い)
  • 12〜3月は避ける。 引き止めが強く、引き継ぎが実質できない
  • 事務所全体の繁忙期より、自分の担当先の決算月の一覧のほうが実務上は効く
  • 転職活動を先に始める。 辞めると言ってから探すと、条件を落とすことになる

なお、パートで働いている方は、正職員とは辞めどきの考え方が変わります。会計事務所のパートを辞めたいときをあわせてご覧ください。

本記事は一般的な整理です。 就業規則・退職の申し出時期・有給の取り扱いは事務所ごとに異なります。実際の手続きは、必ずご自身の就業規則をご確認ください。

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