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行政書士に依頼を断られたら、次は誰に持っていくのか|断られる理由は5つあり、行き先はそれぞれ違う

許可を取りたい、書類を作ってほしい。そう思って行政書士事務所に電話をしたら「うちでは受けられません」と言われた。

ここで多くの人がやるのは、検索結果の次の事務所に同じ電話をかけることです。それで決まることもあります。ただ、断られた理由によっては、行政書士を何人あたっても結果は同じです。行き先が最初から別の場所だった、ということがあるからです。

この記事では、行政書士が依頼を断る理由を5つに分け、それぞれ次に誰のところへ持っていけばいいかを整理します。

行政書士は、そもそも気軽に断れる立場ではない

最初に前提をひとつ。

行政書士法には「依頼に応ずる義務」という条文があり(第11条)、行政書士は正当な事由がなければ依頼を拒めないとされています。つまり「面倒だから」「気が乗らないから」で断るのは、建前の上では許されていません。

逆に言えば、断られたのなら何かしらの理由があるはずです。何が「正当な事由」にあたるかは個別の事情で判断されるもので、一律の線はありません。ただ、実際の場面で出てくる理由は、だいたい次の5つのどれかに収まります。

断られた理由次の行き先
① 行政書士の業務ではない司法書士・税理士・社労士・弁護士・弁理士
② その事務所が扱っていない分野同じ分野を扱う別の行政書士
③ 要件を満たす見込みが立たない許認可の窓口(役所)で事前相談
④ 依頼の中身に問題がある依頼の組み立てを見直す
⑤ 期限や体制が合わない別の行政書士、または期限側の調整

電話口で理由をはっきり言われないこともあります。その場合でも、下の説明と自分の依頼を照らし合わせると、どれに近いかは見当がつきます。

① 行政書士の業務ではない ── 行き先は別の士業

いちばん多く、しかもいちばん「何人あたっても同じ」になるのがこれです。

士業にはそれぞれ、資格がない人は報酬をもらって扱えない独占業務があります。行政書士の独占業務は官公署に出す書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成ですが、そのうち他の法律で別の士業に割り当てられている書類は、行政書士は扱えません。

代表的な線引きは次のとおりです。

  • 登記(不動産・会社) → 司法書士
  • 税務署に出す申告書・税務相談 → 税理士
  • 労働保険・社会保険の手続き書類 → 社会保険労務士
  • 相手がいて揉めている案件、交渉の代理、裁判 → 弁護士
  • 特許・商標の出願 → 弁理士(商標は本人出願もできます)

たとえば「会社を作りたい」という依頼は、定款の作成までは行政書士が扱えますが、設立登記の申請は司法書士の業務です。「相続の手続きを全部」と頼めば、遺産分割協議書の作成は受けられても、不動産の名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人どうしで揉めていれば弁護士、と分かれていきます。

こうした理由で断られた場合、別の行政書士に頼んでも同じ答えが返ってきます。行き先を士業ごと変えるのが正解です。境界の詳しい話は行政書士の独占業務と「ここから先はできない」の境界にまとめています。困りごとの種類から相談先を逆引きしたいときは、この悩み、どの士業に相談すればいい?|困りごと別・相談先の早見ガイドが近道です。

見落としやすいのは「揉めているかどうか」

①の中でも気づきにくいのが、弁護士の領域に入っているケースです。

内容証明郵便の文面を作る、契約書を作る、といった作業そのものは行政書士も扱います。ところが、すでに相手と争いになっていて、こちらの代わりに相手と交渉してほしいという依頼になると、弁護士でなければ扱えない領域に入ります(弁護士法で、弁護士でない者が報酬を得て法律事件を扱うことは制限されています)。

依頼する側は「書類を1枚作ってほしいだけ」のつもりでも、事情を聞いた行政書士が「これは紛争だ」と判断すれば断ります。この場合の行き先は弁護士です。費用が心配なら、法テラス(日本司法支援センター)や各地の弁護士会の法律相談センターが入口になります。

② その事務所が扱っていない分野 ── 行き先は別の行政書士

行政書士が扱える書類の種類は非常に広く、建設業許可、飲食店の営業許可、在留資格、自動車の登録、農地転用、補助金の申請書類など、分野によって必要な知識がまったく違います。

そのため、多くの事務所は分野を絞っています。 建設業許可ばかり扱っている事務所に在留資格の相談をすれば、「うちは扱っていません」と言われることは珍しくありません。これは、慣れない分野を引き受けて依頼者に迷惑をかけないための判断でもあります。

この理由なら、話は単純です。同じ分野を専門に扱っている別の行政書士を探せば、受けてもらえる可能性は十分にあります。

探し方としては、

  • 事務所のサイトで、その分野の取扱実績や解説ページがあるかを見る
  • 都道府県の行政書士会に問い合わせる(無料相談会を開いている会もあります)
  • 断った事務所に「この分野を扱っている事務所に心当たりはありますか」と聞いてみる

の3つが現実的です。3つ目は意外と効きます。行政書士どうしは分野ごとにつながりがあることが多く、紹介してもらえる場合があります。

たとえば建設業許可なら、許可の要件や毎年の届出まで見てくれる事務所かどうかで頼みやすさが変わります。分野ごとの中身は建設業許可はどこから必要?|500万円の線と5つの要件、取ったあとに毎年ある届出も参考にしてください。

③ 要件を満たす見込みが立たない ── 行き先は許認可の窓口

許認可の申請には、ほぼ必ず要件があります。人の要件(経験年数や資格)、場所の要件(設備や面積)、お金の要件、欠格事由に当たらないこと、などです。

事情を聞いた行政書士が「このままでは許可が下りない」と判断した場合、受任を見送ることがあります。申請書をきれいに作っても、要件が足りなければ結果は変わらないからです。

このとき、次に行くべきは別の行政書士ではありません。まずは、

1. 何の要件が足りないのかを、断った行政書士に具体的に聞く 2. その許認可を扱う役所の窓口に事前相談をする

の順で動くのが近道です。保健所、都道府県の担当課、出入国在留管理局など、許認可の窓口は申請前の相談を受け付けていることが多く、「この条件なら通るか」「何を足せば通るか」を直接確かめられます。

要件のうち、あとから整えられるもの(人を雇う、設備を入れる、期間が経つのを待つ)があれば、それを満たしてから改めて行政書士に依頼する流れになります。そのときは、最初に断った事務所に戻っても構いません。

④ 依頼の中身に問題がある ── 依頼の組み立てを見直す

言いにくい話ですが、依頼の中身そのものが原因で断られることもあります。

  • 実際と違う内容を書類に書いてほしい(経験年数を足す、実態のない事務所を書く、など)
  • 要件を満たしているように「見せる」工夫を求めている
  • 必要な資料を出せない、または出したくない

行政書士は、事実と違う書類を作ることはできません。許可が取れたとしても、あとで虚偽が分かれば取消しや罰則の対象になり得るのは依頼した側も同じです。

依頼者本人に悪気がないことも多く、「このくらいは皆やっている」と聞いて頼んでしまった、というケースもあります。この理由で断られたなら、別の事務所を探すより先に、何が問題だったのかを確認して、依頼の組み立てを見直すほうが結局早く進みます。③と同じく、役所の窓口に正直な事情を話して相談するのもひとつの方法です。

なお、資格のない代行業者が「行政書士に断られた案件でもやります」と持ちかけてくることがあります。報酬をもらって官公署に出す書類を業として作ることは、行政書士法で行政書士以外には制限されています。断られた理由が④だった場合は特に、こうした話に乗らないことをおすすめします。

⑤ 期限や体制が合わない ── 別の行政書士か、期限側の調整

「来週までに申請したい」「明日の締切に間に合わせたい」という相談は、書類の量や必要な証明書の取り寄せにかかる日数によっては、物理的に間に合いません。繁忙期で手が回らない、ということもあります。

この場合は、

  • 別の行政書士にあたる(手が空いている事務所なら間に合うこともある)
  • 期限そのものを動かせないか確かめる(申請の締切ではなく、自分で決めた開業日などが期限なら、そちらを動かす)

のどちらかです。補助金の公募のように締切が動かないものは、次回の公募回に回す判断も含めて検討することになります。

依頼が集中する時期は分野によって偏りがあるので、余裕を持って動くほど断られにくくなります。

断られたその場で、聞いておくこと

電話を切る前に、次の3つだけ聞いておくと、次の一手がはっきりします。

1. 断る理由は何か(上の①〜⑤のどれに近いか) 2. 誰なら扱えそうか(別の士業か、別の行政書士か、役所か) 3. 要件の問題なら、どこが足りないのか

理由を細かく説明してもらえないこともありますが、「別の士業の仕事ですか、それとも御社で扱っていない分野ですか」と聞き方を具体的にすると、答えてもらいやすくなります。この二択が分かるだけで、次に電話する相手が変わるからです。

また、別の事務所に相談するときは「以前、◯◯という理由で断られた」と最初に伝えておくと、話が早く進みます。隠しても、事情を聞けば同じ論点に行き着きます。

受けてもらえたら、次は見積もりを読む

次の行き先が決まり、受けてもらえそうになったら、費用の話に進みます。行政書士の費用は、事務所に払う報酬と、役所に払う手数料などの実費に分かれていて、ここを分けて読まないと見積もりどうしを比べられません。詳しくは行政書士に頼むといくらかかるのか|「報酬」と「実費」は別会計だと分かると、見積もりが読めますで整理しています。

よくある質問

断られた理由を教えてもらえませんでした。どうすればいいですか

事務所によっては、細かい事情を説明しないこともあります。その場合は、上の表と自分の依頼内容を照らし合わせて見当をつけるか、都道府県の行政書士会の相談窓口で「この内容は行政書士に頼める案件か」を確認するのが確実です。

一度断られた内容を、別の行政書士に頼んでもいいのでしょうか

問題ありません。特に②(その事務所の専門外)や⑤(期限・体制)の理由であれば、別の事務所では受けてもらえることは十分にあります。①の理由なら行政書士ではなく別の士業へ、③④の理由なら先に要件や依頼内容を見直してから、というのが目安です。

行政書士は依頼を断ってはいけないと聞きました。断られたのは違法ではないのですか

行政書士法には依頼に応ずる義務の規定がありますが、「正当な事由がある場合」は断れるとされています。他の士業の業務である、事実と異なる書類を求められた、専門外で適切に処理できない、といった事情は、断る理由として説明されることが多いものです。個別の件が正当かどうかの判断は、行政書士会などに確認してください。

役所に直接相談しても大丈夫ですか

大丈夫です。許認可を扱う窓口の多くは、申請前の相談に応じています。行政書士に頼むかどうかに関係なく、要件を満たしているかを直接確かめられるので、③の理由で断られたときは特に有効です。相談の受付方法や予約の要否は窓口ごとに違うので、事前に各窓口の案内で確認してください。

司法書士や税理士にも、同じように断られることはありますか

あります。どの士業にも独占業務の範囲があり、事務所ごとに得意分野もあるため、「うちの業務ではない」「うちでは扱っていない」と言われることは珍しくありません。考え方は行政書士の場合と同じで、理由を聞き、行き先を士業ごと変えるのか、同じ士業の別の事務所にするのかを切り分けます。

まとめ

  • 行政書士に断られたら、まず理由を5つのどれかに当てはめる
  • ①他の士業の業務 → 士業ごと変える(何人行政書士をあたっても同じ)
  • ②その事務所の専門外 → 同じ分野を扱う別の行政書士へ
  • ③要件が足りない → 役所の窓口で事前相談、要件を整えてから再依頼
  • ④依頼の中身に問題 → 依頼を組み直す。無資格の代行業者の話には乗らない
  • ⑤期限・体制 → 別の事務所か、期限側を動かす

断られた電話は、行き止まりではなく「行き先の案内」として使えます。電話を切る前に、理由と次の行き先をひとこと聞いておくだけで、同じ電話を何度もかけ直さずに済みます。

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<p style=”margin:.6em 0 0;color:#5b6b7c;font-size:.92em”>確認日:2026-09-14。各士業の業務範囲や法令の解釈は、改正や個別の事情によって変わることがあります。実際の依頼先の判断は、都道府県の行政書士会・各士業会、または許認可を扱う役所の窓口にご確認ください。</p>

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