開業の準備を進めていくと、たいてい同じところで止まります。「資金が足りない。どこに相談すればいいのか分からない」というところです。
金融機関の窓口に直接行くこともできます。ただ、多くの人が最初につまずくのは、借りられるかどうかではなく、「何を持って行けばいいのか分からない」ほうです。
創業時の資金調達には、相談先が複数あり、それぞれ見てくれる範囲が違います。 この記事では、誰が何をしてくれるのかを線引きし、相談へ行く前に自分で用意しておくものまで整理します。
⚠️ 融資の制度・要件・上限は変わります。具体的な条件は、必ず各機関の公式窓口で最新のものを確認してください。 また、どの相談先を使っても「必ず借りられる」ことはありません。
まず、資金の出どころが2種類あることを知っておく
相談先の話に入る前に、創業時によく使われる借り方を2つに分けておきます。この2つは申し込む先が違います。
| どこに申し込むか | 特徴 | |
|---|---|---|
| 公的金融機関の創業向け融資 | 日本政策金融公庫 | 創業時に使われることが多い。実績のない段階でも相談できる枠組みがある |
| 自治体の制度融資 | 自治体の窓口・金融機関・信用保証協会の3者が関わる | 自治体ごとに内容が違う。手続きの関係者が多いぶん時間がかかりやすい |
どちらが向いているかは、業種・必要額・開業時期で変わります。 そして、この判断自体を相談できるのが、次に挙げる相談先です。
相談先ごとに、見てくれる範囲が違う
税理士
数字の部分を見てくれます。 創業融資でいちばん問われるのは「その事業でお金が回るのか」で、そこは創業計画(数値計画)に表れます。
- 売上・原価・経費の置き方が、その業種として無理のない数字になっているか
- 開業後の資金繰りが、何か月もつ形になっているか
- 自己資金の見せ方(何が自己資金として扱われるか)
そして、融資の後にそのまま顧問として続くことが多いのもここです。頼む時期の考え方は税理士に頼むのはいつからかにまとめています。
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)
国の認定を受けた支援機関です。税理士・会計士・金融機関・商工会議所などが認定を受けています(=別の職種ではなく、上の税理士がこの認定を持っていることもあります)。
- 認定支援機関の関与が要件になっている制度があります
- どの制度が使えるかという組み合わせの相談ができます
⚠️ 「認定支援機関だから融資が有利になる」わけではありません。 制度ごとに関与の意味が違うため、その制度で何が必要かを確認してください。
自治体・商工会議所・よろず支援拠点などの公的窓口
無料で相談できる窓口があります。 最初の一歩としては、ここが軽い。
- 自治体の制度融資は、その自治体の窓口がいちばん正確です
- 創業セミナー・個別相談を用意しているところがあります
- 費用がかからないぶん、書類作成そのものを代行してくれるわけではありません
行政書士
許認可が必要な業種では、ここが先に来ます。 飲食・建設・運送・古物などは、許可が下りる見込みが立たないと事業計画そのものが成り立ちません。
会社の形で始めるなら、設立まわりの範囲は会社設立を行政書士に頼むメリットと費用の目安に整理しています。
どこに相談しても、金融機関の審査そのものは代わりに受けられません
これは前提として押さえておいてください。士業ができるのは、計画を形にすること・書類を整えること・説明の筋を通すことまでです。 判断するのは金融機関です。
費用は「何に対して払うのか」を先に聞く
創業融資の支援は、事務所によって費用の取り方が大きく違います。 ここは契約前に必ず確認してください。
- 着手金がかかるのか、成果に応じた報酬なのか
- その後の顧問契約が前提になっているか(融資支援の費用が抑えめでも、顧問料と合わせて考える必要があります)
- どこまでが料金に含まれるか(計画書の作成だけか、面談の準備まで見てくれるのか)
顧問契約を前提にしない形もあります。 記帳は自分でやり、決算と申告だけを単発で頼む頼み方です。受ける事務所と受けない事務所が分かれるため、融資支援の見積もりを「顧問料込み」で見るかどうかを決める前に、決算だけ税理士に頼めるのかで分かれ目を確認してください。
補助金・助成金の依頼先でも同じ論点があり、そちらは助成金と補助金、申請は誰に頼むのかにまとめています。融資と補助金は、お金の性質も時期も違います。混ぜて考えないでください。
相談に行く前に、自分で用意しておくもの
相談先を決める前に手を動かせるところがあります。 ここが空のまま行くと、どの窓口でも「まずそれを持ってきてください」で終わります。
- いくら必要で、何に使うのか(設備なのか、当面の運転資金なのか)
- 自己資金がいくらあるか、そしてそれがいつからどう貯まったものか
- 開業予定日と、そこから逆算した準備の日程
- その事業の経験(同業での勤務歴があるかどうかは、よく見られる点です)
- 許認可が要る業種かどうか
特に自己資金は、金額だけでなく「出どころ」を見られます。 ここは後から作れないので、早い段階で通帳の形を整えておくことが実際に効きます。
よくある質問
Q. まず金融機関に直接行ってはいけませんか。 いけないことはありません。ただ、計画書が無い状態で行くと、結局そこから作ることになります。 先に数字を作ってから行くほうが、往復が減ります。
Q. 無料の窓口だけで足りますか。 足りる人もいます。書類を自分で作れる・数字を自分で組める人なら、公的窓口の相談だけで進むことがあります。時間を買いたい場合に、専門家に頼む意味が出てきます。
Q. 開業後でも相談できますか。 できます。ただし創業向けの制度には時期の条件が付くことがあります。 「創業から何年以内」といった条件は制度ごとに違うため、該当しそうな時期になったら早めに確認してください。
Q. 融資が下りなかったらどうなりますか。 同じ内容ですぐ再申請しても、結果が変わるとは限りません。 断られた理由の見立てを含めて、相談先と組み立て直すことになります。
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まとめ
- 創業時の借り方は大きく公的金融機関の創業融資と自治体の制度融資の2つ。申し込む先も、関わる人の数も違います
- 税理士=数字と計画/認定支援機関=制度の組み合わせ/公的窓口=無料の入口/行政書士=許認可、と見てくれる範囲が分かれます
- 費用は「何に対していくら払うのか」を契約前に確認する。 顧問契約とセットになっているかどうかも含めて
- 相談前に、必要額・自己資金の出どころ・開業日程を自分で用意しておく。 ここが空だと、どの窓口でも先へ進めません
- 制度の要件は変わります。最終的な条件は各機関の公式窓口で確認してください

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